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【論考】言語学から人間学へ(山岡政紀研究員)
近代科学の要素還元主義は学問の専門分化をもたらした。人間を探究する人文科学もまた、哲学、言語学、人類学、宗教学等の専門分野に分化している。各分野は人間に表れる論理、言語、文化、宗教といった個別の現象を考察対象としている。 だが、それらの諸現象の奥にある人間という一つの総合体の本質を探究しようとするならば、どの現象から入っても共通の真理に接近していくはずである。本質に迫れば迫るほど専門分化の壁を越えざるを得ず、自ずと学際的になっていく。 私の専門は言語学である。院生時代には文の構造というミクロ視点に集中して研究していたが、コミュニケーションという人間の営みの総体から見れば文は素材に過ぎない。そのコミュニケーションの総体を探究しようとしたとき、発話を行為と見るサールの理論に啓発され、哲学の視点を知った。さらに、コミュニケーション上の対人配慮のあり方を考察したブラウン&レヴィンソンのポライトネス理論を学んでみると、人が他者との接触に際して心に抱く欲求をフェイスと名づける社会学・心理学の視点を同時に学ぶこととなった。人間を探究すればするほど、専門領域を
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2021年1月19日読了時間: 2分
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