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【論考】創価信仰学を考える(山岡政紀研究員)
はじめに 2019年4月1日に松岡幹夫氏が「創価信仰学」を探究することを目的として創学研究所を発足しました。本稿では創学研究所の意義を確認し、その活動を活性化していくために、「創価信仰学」とは何かについて私の理解するところを述べさせていただきます。 宗教学・仏教学との対比 「創学研究所」について松岡氏は、「信仰と理性の統合」を目的に掲げ、創価学会の「信仰学」を探究する研究機関であると創学研究所のホームページで述べています。「信仰学」とはキリスト教で言えば「神学」(theology)に当たるものですから、「創価信仰学」とは、誤解を恐れずにわかりやすく言えば「創価学会版の神学」と言えるでしょう。 神学の歴史は古く、紀元前(イエス・キリスト生誕以前)の古代ギリシャの哲学者たちに最初期の神学を見出すことができます。以来、長い歴史のなかでキリスト教の信仰のなかにある世界観や生命観の論理を哲学として言語化する役割を果たしてきました。特に欧州において神学は西洋文明に精神的基盤を与えるほどの影響力をもちました。その表れとして、ボローニャ大学など
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2021年8月28日読了時間: 8分


【論考】言語学から人間学へ(山岡政紀研究員)
近代科学の要素還元主義は学問の専門分化をもたらした。人間を探究する人文科学もまた、哲学、言語学、人類学、宗教学等の専門分野に分化している。各分野は人間に表れる論理、言語、文化、宗教といった個別の現象を考察対象としている。 だが、それらの諸現象の奥にある人間という一つの総合体の本質を探究しようとするならば、どの現象から入っても共通の真理に接近していくはずである。本質に迫れば迫るほど専門分化の壁を越えざるを得ず、自ずと学際的になっていく。 私の専門は言語学である。院生時代には文の構造というミクロ視点に集中して研究していたが、コミュニケーションという人間の営みの総体から見れば文は素材に過ぎない。そのコミュニケーションの総体を探究しようとしたとき、発話を行為と見るサールの理論に啓発され、哲学の視点を知った。さらに、コミュニケーション上の対人配慮のあり方を考察したブラウン&レヴィンソンのポライトネス理論を学んでみると、人が他者との接触に際して心に抱く欲求をフェイスと名づける社会学・心理学の視点を同時に学ぶこととなった。人間を探究すればするほど、専門領域を
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2021年1月19日読了時間: 2分
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